まず『辺境・近境』というタイトル、そしてノモンハン戦争の跡地にうち捨てられた戦車の上でポーズを決めている文庫のカバー写真から何やら御堅い旅行記かと身構えそうになりますが、読んでみたらそうでもなく、『無人島・からす島の秘密』や『讃岐・超ディープうどん紀行』などはまるで椎名誠のエッセイのようなお気楽さが漂っています。

日本に留まらず、イースト・ハンプトン、メキシコ、ノモンハン、アメリカ大陸横断など、世界のあちこちを村上春樹が旅しています。

この本の中で私が好きなのは、何と言っても『讃岐・超ディープうどん紀行』です!
雑誌の企画で、著者が香川県出身者の女性編集者のマツオさんと共に香川県の讃岐うどんを食べに行くことになるのですが、そこに村上春樹のエッセイなどのイラストでお馴染みの安西水丸氏も加わっての三人旅に。
『讃岐・超ディープうどん紀行』の章には写真の代わりに安西水丸画伯の味のあるイラストが何点か添えられています。

とにかくうどん屋でうどんを食べまくるという、ただそれだけのエッセイ(笑)

四国に到着して最初に入ったうどん屋「小懸家(おがたや)」では、店に入るとまずおろし金と長さ二十センチくらいの大根が運ばれてくる。周りの客は真面目な顔で大根をおろしているのを見て、著者もこしこしこしこしと大根をおろす・・・。大根と一緒にすだちが運ばれ、テーブルの上には七味と葱と生姜、胡麻、醤油、さらにチューブ入りの練りわさびと味の素などが置いてあります。味の素というのがなんともディープ。著者は早速うどんに醤油をかけて食べる「醤油うどん」を試します。

その後も、何軒かのうどん屋をはしご。これを読んでいるだけで、もううどんが食べたくなってしまいます。本気で夫と二人で讃岐うどんの旅にでようかと思いました。

辺境・近境 (新潮文庫)
村上 春樹
新潮社
売り上げランキング: 28877
スポンサーリンク
関連記事