初めて読んだ金城一紀の小説は『GO』。直木賞受賞作。いつものように文庫化されてからようやく手に取りました。私の手元にある『GO』は黒い表紙の講談社文庫ですが、今は角川文庫から出ていますね。

主人公の杉原は、日本で生まれて日本で育った在日韓国人。杉原の父親は朝鮮籍だったのだが、ある日を境に韓国籍に変える。杉原は、自分はそんなに簡単には転ばないと思っていたのだが、中二の春休みが終わろうとしていたある日、父親の「広い世界を見ろよ・・・」の一言による影響もあって、自分に初めて与えられた選択肢に対する答えとして韓国籍に変えることを選んだのだった。

さらに杉原は民族系の高校ではなく日本の高校を受験することを決意。教師たちの嫌がらせを受けながらも、必死に勉強し、どうにか都内にある私立の男子校(偏差値が卵の白身部分のカロリー数ぐらいしかない)に入学することが出来た。

その高校生活も杉原のもとに「挑戦者」がやって来てはケンカを挑んでくるような日々。そんな杉原の親友は民族学校に通う「開校以来の秀才」と呼ばれる正一。日本の学校に通うようになって他の友人とは疎遠になってしまったが、正一との関係は変わらなかった。
そして、もう一人高校三年生になった杉原の前に現れたのが、桜井という有名な進学校に通う同い年の女の子。二人は付き合い始めるのだけれど、杉原は桜井に自分が在日韓国人であることを言い出せずにいた・・・。

『GO』を読んだ時は、久しぶりにわくわくする本に出合ったと思いました。といっても、テーマは決して軽くはないし、面白おかしいだけの小説ではありません。でも、じめっとした暗さが全く感じられないのです。むしろ読み終えた後はスカッと爽快な気分になります。それに、登場人物の一人一人に魅力を感じます。特に杉原の両親はどちらも豪快な性格で笑わせてくれます。だから私はこの『GO』を何度も読んでしまうのです。

金城一紀の小説にはたくさんの本や音楽、映画のタイトルが出てきます。この『GO』には特に映画のタイトルがたくさん出てきます。

杉原と正一は月に一度会う時にお互いが読んで面白いと思った本を交換するので、二人が会う場面には本のタイトルもいくつか出てきます。例えば、正一は杉原との待ち合わせ場所で夏目漱石の『吾輩は猫である』を読んでいます。他にも正一が杉原に薦めた本として開高健の『流亡記』や芥川龍之介の『侏儒の言葉』など。
私は『GO』を読んで、今まで学校の教科書でほんの一部しか読んだことがなかった夏目漱石の『吾輩は猫である』を読んでみたいと思い、実際読みました。

それから、杉原と桜井がお互いに気に入っているCDを薦め合う場面では、杉原はブルース・スプリングスティーンの『トンネル・オブ・ラブ』を、桜井はジャズ・ピアニストのホレス・パーランの『アス・スリー』を薦めるのですが、この『アス・スリー』も『GO』を読み度に聴きたくなってCDを買おうと思うのですが、これはまだ買っていません。

とにかくこの金城一紀の『GO』は、それくらい影響を受けてしまうほど私の大好きな小説です。

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映画も良かった。特に父親役の山崎努。しぶい。
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