私の手元にある文庫の帯には次のように書いてあります。

これまで書いた自分の作品の中で、いちばん好きです。
これが書けたので、小説家になってよかったと思いました。


なるほど、そうなのか。そういえば、以前、雑誌『ダ・ヴィンチ』(2004年5月号)で『ハチミツとクローバー』でおなじみのマンガ家羽海野チカさんが、この『デッドエンドの思い出』について寄稿していたなぁ。

『デッドエンドの思い出』は、表題作をはじめとする全5作品を収録した短篇集。その中で私が特にいいなと思うのは最初の『幽霊の家』です。

私(せっちゃん)と岩倉くんは同じ大学に通う学生。私の家はそこそこ有名な洋食屋で、岩倉くんの家はかなり有名なロールケーキの店。私は洋食屋を継ぐことを決めているけれど、岩倉くんはこのまま店の後を継ぐことを躊躇している。ある日、私は岩倉くんが一人暮らしをするアパートを訪ねます。木造のぼろぼろのアパート。岩倉くんの部屋は、落ち着くけど不思議な感じがすると私が言うと、岩倉くんは、この部屋には他の人も住んでいるのだと言い出す。それは、死んだ大家さん夫婦で、岩倉くんの話では、どうやら大家さん夫婦は自分たちが死んだことに気づいていないらしい・・・。

と言っても、決して怖い話ではありません。もし、そうなら怖い話が苦手な私のお気に入り作品になるはずがありませんから。

ちょっぴり遠回りしながらも、結ばれる運命にあったせっちゃんと岩倉くんのほわんとしたラブストーリー。そこにちょっと不思議な話がスパイスとして加わっているのがよしもとばなならしいです。

ところで、よく本の最初のページに「○○に捧ぐ」とかって書いてありますよね。この『デッドエンドの思い出』にもそれが書いてあります。「藤子・F・不二雄先生に捧ぐ」と。

スポンサーリンク
関連記事