私が中学生の時に吉本ばななの小説がブームになっていました。私自身は当時吉本ばななに、というより小説を読むということに対してあまり興味がなかったので、書店で吉本ばななの本を手に取ることはなく、もっぱらマンガに夢中でした。

ところが、友人に薦められて牧瀬里穂主演の映画『つぐみ』を観たのがきっかけで、原作『TUGUMI』の単行本を買って読んでみたら、これが面白くてすいすい読める。2つ上の姉の部屋に『キッチン』や『哀しい予感』、『白河夜船』などの単行本があったのを思い出して、とりあえず有名な『キッチン』を読んでみたら・・・あれ?なんだかピンとこない。次に『白河夜船』・・・やっぱりだめ。それ以来しばらくの間、私が吉本ばななの小説を読むことはありませんでした。

再びよしもとばななの本を読むようになったきっかけがこの『アムリタ』。特に何か理由があった訳ではなく、なんとなく吉本ばななの小説を読んでみようと思って、選んだのが『アムリタ』でした。

行きつけの古びたバーで働く朔美。朔美は母親と、小学四年の弟由男の他、母親の幼なじみの純子さん、大学生のいとこ幹子と一緒に暮らしている。朔美には妹もいた。妹の真由は、飲酒運転で電柱に激突して死んだのだった。真由は酒だけでなく大量の睡眠薬を飲んでいた。真由の恋人だった竜一郎とは今でもよく会う。

朔美はバイト先に急いで向かう途中、階段を踏み外して頭を強く打って意識を失う。そして、目覚めたら記憶も失っていた。しかし、それはほんのわずかな間のことで、徐々に記憶は戻ってきたのだけど、何かが以前とは変わってしまったような気がする。
近頃様子がおかしい弟の由男が「声が聞こえてくるんだ。」と朔美に言う。寝ていても、起きていてもそれは聞こえる・・・と。

平穏だった朔美たち家族の暮らしも、真由の死を境に何かが少しずつ変わっていって、それは止めることも出来ず、ただ受け止めるしかなくて。
さらに弟の由男だけでなく、竜一郎の友人でサイパンに住んでいるコイズミくんの妻のさせ子は霊とコミュニケーションをとることが出来るなど、物語の後半はちょっと?不思議ワールドに突入したりしますが、家族や大切な人のことをふと思い浮かべてしまう素敵な話でした。

また、吉本ばなならしく、アニメや小説のタイトル、ミュージシャンの話なんかが出てくるのが楽しいです。長嶋有の小説もそうなのですが、こういうのは、ストーリーとは別の楽しみになります。





この『アムリタ』を読んだおかげで「あれ?よしもとばななって面白い♪」と思えたので、再び『キッチン』、『哀しい予感』などを手に取るようになりました。そうしたら、中学生の時には面白くなかった作品も面白くて、読んで良かった~と思いました。やっぱり本を読む時期やタイミングって大切なんですね。
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