1月に乃南アサの女刑事音道貴子シリーズの『風の墓碑銘』(上)・(下)が文庫化されるということもあり、久しぶりにシリーズ第1弾となる『凍える牙』を読み返しました。このシリーズの作品の中では、やはりこの『凍える牙』が私は1番好きです。

深夜のファミリーレストランで、突然客の男が炎に包まれ、一瞬にして火だるまに。店員も他の客も一体何が起きたのか分からないまま、パニック状態で店の外に逃げ出した。
警視庁機動捜査隊の刑事音道貴子は、中年のベテラン刑事滝沢とコンビを組み、事件の捜査にあたる。

この時、貴子は初めて滝沢に会い、コンビを組むことになったのですが、とにかく滝沢は貴子が女だというだけで、毛嫌いし、あからさまに嫌味を言ったりします。貴子を相棒とは認めず、単なる足手まといだと思っているのです。貴子は貴子で、そんな滝沢の態度に腹を立てるものの、一応年上であり先輩刑事でもあるので、最初は我慢してグッとこらえます。でも、密かに滝沢に“皇帝ペンギン”というあだ名をつけたりはします。

事件を捜査するうち、今度は、野犬によるものとみられる咬殺事件が続きます。聞き込みに歩き回る忙しい日々が続くなかで、滝沢の嫌味にも音をあげない貴子の男顔負けのタフさに、滝沢もほんの少しだけ貴子を刑事仲間として認めるようになります。

もし、この『凍える牙』だけで終わっていたら、滝沢にはあまりいい印象を持てないままでしたが、この後に続く短編も含むシリーズ作品を読むと、滝沢への評価はグンと良くなると思います。少なくとも私はそうでした。
だから、再読する時は、滝沢は本当はいいところもあるのに、不器用でこういう態度しか取れない、ちょっとかわいいおじさん刑事なんだって分かっているので、貴子に対する嫌味にも嫌な感じは受けませんでした。でも、初めて読んだ時は、かなり腹立たしかったですけど。

事件の“犯人”と貴子が対決するシーンは、読み応え十分です。



『凍える牙』は、貴子を天海祐希、滝沢を大地康雄が演じてドラマ化されたのですよね。私は観ていないのですが、キャスティング、特に「滝沢=大地康雄」はピッタリだと思います。

それから、シリーズ化されている2時間サスペンスドラマの『おとり捜査官・北見志穂』の松下由樹が演じる北見刑事と、蟹江敬三が演じる袴田刑事の関係も、最初は反発し合っている二人がやがて息のあったコンビになっていくところが、貴子と滝沢に似ているなぁって思います。
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