『ノルウェイの森』の次に読んだ村上春樹の作品は、多分この『カンガルー日和』だったと思います。初めて『カンガルー日和』を読んだ時は、正直言って面白くないと思ってしまいました。

『カンガルー日和』には、一編10ページ前後の短いショートストーリーが18編収録されています。そのほとんどが、不思議なストーリーで、一作品がとても短いだけに不思議なままに終わってしまいます。
村上春樹独特の世界に慣れていれば、「村上春樹っぽい」と思えるのですが、私がこの本を最初に読んだ時は、まだこの不思議な世界に馴染めず、何だか消化不良のような、そんな気分にさせられてしまったのです。それで、読み終えた後、もう読み返すことはないとブックオフに持って行きました。ところが、その後、いわゆる“青春三部作”を読んで、再び私の春樹熱に火がつき、他の様々な村上春樹作品を読むうちに、もう一度『カンガルー日和』を読んでみたくなり、結局再購入するはめになってしまったのです。

前にも書いたことがあると思いますが、私には、一度ブックオフに売ってふと読みたくなり同じ本を再び新しく買い直すという何ともまぬけな経験が何度もあります。

再読した『カンガルー日和』はどうだったかというと、これが面白かったんです。おそらく、村上春樹の作品にはまり、その不思議世界にすっかり馴染んだからなのでしょう。
表題作の『カンガルー日和』なんて、主人公とその彼女が、動物園にカンガルーの赤ん坊を見に行くという、ただそれだけの話なのです。でも、その文章には村上春樹らしさが滲み出ています。それが、最初に読んだ時には私にはよく分からなかったのです。

18のショートストーリーの中で、私のお気に入りは、昼食を終えて煙草を一服している“僕”の家にあしかがやって来る・・・『あしか祭り』。新聞に載っていた「名菓とんがり焼・新製品募集・大説明会」という広告に興味を抱いた僕は、その大説明会に参加してみることにした・・・『とんがり焼の盛衰』。一九七一年、それはスパゲティーの年だった・・・『スパゲティーの年に』。送られてきた葉書を手に新しい就職先を訪ねた僕は合言葉を言わなければ取り次げないと言われてしまう・・・『かいつぶり』。そして、一番最後に収録されている他の作品よりちょっと長めの『図書館奇譚』。

『スパゲティーの年に』を読むと、無性にスパゲティーが食べたくなってしまいます。

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