江國香織の『泣く大人』に収録されている『くつろぎの時間』というエッセイに以下のようなくだりがありました。

お風呂の中で読み耽る推理小説。実際、これ以上の幸福はない。
フレデリック・ブラウン、クレイグ・ライス、T・J・マグレガー、フェイ・ケラーマン。みんな、お風呂で読んだ。ジョイ・フィールディングも、パトリシア・コーンウェルも。


私は、これを読んでクレイグ・ライスという作家がいるということを知ったのです。

さらにクレイグ・ライスの作品に、“マローン弁護士シリーズ”というシリーズものがあるということを知ったのですが、シリーズ第1弾の『時計は三時に止まる』はアマゾンでも手に入らず新品の文庫を買うのは諦めていました。ところが、偶然書店に新品の『時計は三時に止まる』が置いてあるのを見つけ、喜んで買ったのです。私は、どちらかというと、本は新品で買って手元に置いておきたいタイプなので、絶版だけどどうしても欲しいという場合以外は古本は買わないのです。きっと、田舎の書店だから売れ残っていたのかも。そういえば、違う書店ですが、ジェイムズ・M・ケインの『郵便配達夫はいつも二度ベルを鳴らす』も見つけて買いました。

『時計は三時に止まる』の冒頭でホリーという女性が目を覚まして、部屋に置いてある時計で時間を確認すると、午前3時。もっと長い時間眠ったような気がするのに、まだこんな時間なのか?と怪訝に思いながら時間を確かめようと部屋を出たホリーが一緒に住むアレックス伯母の部屋のドアが開いていたのに気付き、中に入ってみると、アレックス伯母は窓際の椅子に座っていた。凍えるように寒い冬なのに部屋の窓も開けたままで。ホリーがアレックス伯母に近寄り、その手に触ってみると、まるで氷のように冷たかった・・・。

この殺人事件の容疑者として逮捕されてしまったホリー。そのホリーと駆け落ちをするはずだったディックの友人であるジェイクは、マローンにホリーの弁護を依頼します。
マローンはだらしのない身なりをした弁護士ですが、名探偵ばりの鋭い推理で事件の真相を突き止めるのです。

このシリーズ第1弾には、マローンの他にシリーズの主要キャラクターとなるジェイクとヘレンも登場しています。特に魅力的なのがヘレン。ヘレンはホリーの友人として登場します。そして、ホリーを助けるためにマローン、ジェイクらと共に事件を調べるのですが、最初にマローンのもとを訪ねる時などは、青いサテンのパジャマのズボンの裾をまくって、その上に毛皮のコートを羽織るという豪快さ。その姿に会ったばかりのジェイクもあきれてしまいます。

マローン、ジェイク、ヘレンの3人はシリーズ1作目にして、既に面白いトリオになっているように感じました。魅力的なキャラクターが登場するシリーズものというのは、読み甲斐があります。
でも、残念ながら、このマローン弁護士シリーズは、絶版になってしまっている作品がちらほらあります。今私が持っているのは、この『時計は三時に止まる』と『マローン殺し』(これも新刊書店で新品を発見♪)の2作品。とりあえず順番通りに読むのは諦めて、まだ絶版になっていない作品の文庫をぼちぼち揃えていこうと思います。

時計は三時に止まる (創元推理文庫)
クレイグ ライス
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