私の三島由紀夫に対するイメージを変えたのが、この『三島由紀夫レター教室』。初めて読んだのは、もうかなり前のことになります。この本を読もうと思ったきっかけは、以前、雑誌(たぶん『ダ・ヴィンチ』だったと思うのですが)で、渡辺満里奈さんが紹介していたのを読んで、初めて『三島由紀夫レター教室』なる本が存在するということを知り、興味を持ったからでした。

先日、久しぶりに再読しましたが、やっぱり面白い。私がこれまでに読んだ三島由紀夫の小説、『仮面の告白』、『潮騒』、『春の雪』、『金閣寺』などとはまるで違う、笑える面白さがあるのです。

最初に『登場人物紹介』があり、氷ママ子(45歳)、山トビ夫(45歳)、空ミツ子(20歳)、炎タケル(23歳)、丸トラ一(25歳)という5人の登場人物それぞれの職業や家族構成、外見などが簡単に紹介されています。
この登場人物たちのキャラクター設定からして、かなり面白いです。

まず、氷ママ子は、夫を亡くした後自宅で開いた英語塾が成功した、ちょっと上流気取りの女性で、大学生と高校生の息子がいる。

山トビ夫は、有名な服飾デザイナーでありママ子のボーイフレンド。恋人ではなく親友で、トビ夫には奥さんがいる。うれしいときには、横っ飛びに飛んで歩くというおかしな癖の持ち主(笑)

空ミツ子は、ママ子の英語塾のかつての生徒で、大きな商事会社のOL。字がうまい。

炎タケルは、芝居の演出の勉強をしている貧しい青年。トビ夫、ママ子、ミツ子のそれぞれと面識がある。

丸トラ一は、ミツ子のいとこで、大学を三年も留年している。まんまるに肥っている。

そして、これら5人に共通するのが「筆まめである」というところ。この本では、5人の登場人物、たとえばママ子からトビ夫へ、タケルからミツ子へ、あるいはトビ夫からミツ子への手紙が紹介されるという、ちょっと変わった手紙形式の小説(?)なのです。それらの手紙を読んでいくうちに5人の今の関係や、その関係が変化していく様子が分かるのです。手紙の内容は、ラブレターだったり、借金の申し込みだったり、心中を誘う手紙や妊娠を知らせる手紙など様々。

なんだか、他人の手紙をこっそり盗み読みしているような気持ちにもなりますが(笑)、読み出すと面白くてやめられなくなります。

ちなみに、ちくま文庫の解説は群ようこさんです。

三島由紀夫レター教室 (ちくま文庫)
三島 由紀夫
筑摩書房
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