私は時代小説も好きでよく読むのですが、宮部みゆきの時代小説は、ミステリーとしても楽しめるのでちょっと得した気分になれます♪

江戸・深川の鉄瓶長屋で八百屋を営む太助が殺された。太助の妹お露が言うには太助は殺し屋に殺されたらしい。そこで本所深川方の同心、井筒平四郎が事件の解決に動き出す『殺し屋』。太助が殺害された後、鉄瓶長屋の差配人久兵衛が姿を消してからまるひと月が過ぎた。平四郎が鉄瓶長屋に顔を出すと桶職人権吉のひとり娘お律がげっそりと痩せてまるで骸骨のようになってしまっていた。どうやら権吉が博打にどっぷりとはまってしまっているらしい『博打うち』。

このように『ぼんくら』は序盤は連作短編集のかたちをとっていますが、上巻の丁度中盤あたりから『長い影』という長編小説に変わります。ガラリと話が変わるのではなく、それまでの短編の話もつながっています。

この『長い影』から平四郎の甥、弓之助が登場します。弓之助は、平四郎の細君の次姉の五番目の子供で今年十二になるのですが、とにかくべらぼうな美形なのです。平四郎夫婦の間には子供がいないので、細君はいずれは弓之助を養子に考えているのです。
その弓之助が観察眼が鋭く、事件解決につながるような一言をぽつりと言ったりするので、子供好きではない平四郎も弓之助を連れ歩くようになります。

もう一人、“おでこ”と呼ばれる少年が登場するのですが、このおでこは、物覚えがよく二十年も三十年も昔の出来事を聞かされ、それをきちんと覚えているという特技の持ち主。でも、普段はとても子供らしくて可愛らしいキャラクターです。

このように魅力的なキャラクターが活躍するのも宮部みゆきの小説の魅力のひとつ。それが、時代小説になると、鉄瓶長屋のお徳のように人情味溢れる登場人物が出てくるので、ミステリーであってもどこか温かみがあり、作品にもよりますが、後味が悪くなることがありません。
この『ぼんくら』も最後の『幽霊』では鉄瓶長屋にまた平穏な日々が戻った様子が描かれていて、あぁ良かったと思うのと同時にもっと物語が続いて欲しいとも思いました。





『ぼんくら』の続編にあたる『日暮らし』がようやく文庫化されたので、是非読みたいと思います。
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