村上春樹の青春三部作第3弾『羊をめぐる冒険』。私は今まで読んだ村上春樹の長編小説の中ではこの『羊をめぐる冒険』が一番好きです。
『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』とこの作品とで迷うところなのですが、現実とそうでない不思議な世界との境目に曖昧さが残されている分、『羊をめぐる冒険』の方がいいかなぁと。

時は流れて1978年。“僕”は結婚していて、今は離婚している。妻と別れた直後広告コピーの仕事で「耳」の写真を見た僕はすっかりその耳に魅了されてしまう。そうして耳の持ち主である彼女に会い、やがて付き合うようになる。

その彼女がある時「あと十分ばかりで大事な電話がかかってくるわよ」と言い、さらに続けて予言めいたことを口にする。

「羊のことよ」と彼女は言った。「たくさんの羊と一頭の羊」
「羊?」
「うん」と言って彼女は半分ほど吸った煙草を僕に渡した。僕はそれを一口吸ってから灰皿につっこんで消した。「そして冒険が始まるの」


この彼女の言葉どおり僕に仕事の相棒から電話がかかってきて、羊をめぐる冒険が始まるのです。

実はその年、1978年の5月の僕の友人“鼠”からの手紙に羊についての事が書かれていた。それとジェイによろしくと。僕と鼠が通ってビールを飲んだジェイズ・バーはすっかり変わり三代目ジェイズ・バーとして新しいビルの中にあった。

やがて僕と彼女は羊を、そして鼠を追って北海道へと渡ります。

こんな風に『風の歌を聴け』、『1973年のピンボール』からの流れをくみつつも、三部作の中では最も不思議な世界が繰り広げられていくのが『羊をめぐる冒険』なのです。羊男に羊博士が登場。そして鼠は・・・。

どれだけ不思議な世界が広がっていても、私がいいなぁと思うのはやはり僕が読む小説や音楽、あるいは食べ物の描写だったりします。それに長編なので、どっぷりとこの世界に浸ることが出来るのが何より嬉しいです。

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