『風の歌を聴け』に続く村上春樹の青春三部作の第2弾『1973年のピンボール』。

よく晴れた日曜日の朝、“僕”が目覚めると、両脇には双子の女の子がいた。名前を尋ねてみたものの、片方は「名乗るほどの名前じゃないわ」と言い、もう片方も「実際、たいした名前じゃないの」と言う。
この何とも不思議な出会いから、まるで当然のことのように僕のアパートで双子との同居生活がはじまります。

一方僕の友人“鼠”は、大学を辞めてから三年の時が流れていたのだが、まるで鼠の周りだけ時の流れが止まったかのように以前と変わらず「ジェイズ・バー」に通いバーテンのジェイを相手にビールを飲んでいた。
ある日鼠は新聞の不要物売買コーナーで電動タイプライターを見つける。そして売主の女性と知り合う。彼女に出会ったことで鼠の心に変化が起きる。

僕と双子、鼠と彼女それぞれの時が流れていくなか、僕は3フリッパーの「スペースシップ」というピンボールを捜し求めるようになる。
それは、彼女、つまり3フリッパーのスペースシップが僕を呼びつづけていたから。何日も何日もそれが続き、とうとう僕は3フリッパーのスペースシップを捜し求めて東京中のゲーム・センターを巡るようになるのです。

この『1973年のピンボール』には『風の歌を聴け』よりもさらに不思議な世界が広がっています。より村上春樹っぽくなっているとも言えるような。この後の第3弾『羊をめぐる冒険』はもっと不思議ですけど。

僕と鼠が大学生だった『風の歌を聴け』が青春のど真ん中だとしたら、『1973年のピンボール』はその終わりのような寂しさがそこかしこに漂っているような気がします。
その象徴が3フリッパーのスペースシップであり、僕のもとを去る双子であり、鼠なのかも。

相変わらずたくさんの音楽が小説を彩っているのも嬉しい。

1973年のピンボール (講談社文庫)
村上 春樹
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