絲山秋子のデビュー作『イッツ・オンリー・トーク』。この『イッツ・オンリー・トーク』には、表題作『イッツ・オンリー・トーク』の他に『第七障害』という作品が収録されています。実は私は表題作よりも同時収録の『第七障害』の方が気に入っています。

『イッツ・オンリー・トーク』の方はさらっと紹介すると、主人公の橘優子の周囲に集まる男性は、大学時代の友人で今は都議会議員の本間、同じく大学時代の友人バッハ、出会い系サイトで知り合った“痴漢”kさん、福岡に住むいとこの祥一、鬱病のヤクザの安田などどこか変わった人ばかり。
優子は寂しさを埋める為か、単に快楽の為か心のつながりはないのに男たちと体のつながりを求めてしまう・・・。

絲山秋子は他の作品を読んで好きになり、このデビュー作は一番最後に後回しにしていたのですが、正直、『イッツ・オンリー・トーク』には、これといっていいなぁと思うところがありませんでした。

同時収録の『第七障害』は、タイトルからも分かるように馬術の障害飛競技に関係していることもあって、馬好きな私としては、こちらの作品を気に入っています。もちろん、ただ馬が出てくるからというだけではありません。それはあくまでもストーリーの一部にしか過ぎないのですから。

『第七障害』は『イッツ・オンリー・トーク』と真逆というか正反対というか、ほっとする純愛ストーリー。

主人公の順子は馬術大会の決勝で第七障害の飛越に失敗し、パートナーだった栗毛馬ゴッドヒップを予後不良で安楽死させてしまい、乗馬クラブをやめてしまう。ゴッドヒップを「自分が殺した」という思いを消すことが出来ず馬術競技から離れた順子だが、気持ちのどこかに馬術競技のこと、馬のことがある。そんな順子の心を解きほぐしてくれたのが篤。

馬術競技のかつてのライバルであり、順子を慕う年下の篤は、順子のことをとても大事に想っており、二人の気持ちがゆっくりと通い合っていく様子がいいです。

イッツ・オンリー・トーク (文春文庫)
絲山 秋子
文藝春秋
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