まず、読み始めてすぐに気付いた事がひとつ。今回初めて読むと思っていた伊坂幸太郎の『魔王』でしたが、これ、既に読んだ事がありました…。

すっかり忘れていましたが、以前図書館で単行本を借りて読んでいたみたいです。まだ、今みたいに伊坂幸太郎にハマっていなかった時に読んだので、忘れていたのかもしれませんが、「考えろ考えろマクガイバー」を忘れちゃってたなんて自分でもビックリしました!やはり、人間は忘れる生き物なのですねぇ(笑)。

でも、今回改めて読んでやっぱり面白い!と思いました。

『魔王』には、政治や憲法、社会問題などが盛り込まれているので、他の伊坂作品に比べるとややとっつきにくい感じはありますが、そういう難しい部分をとっぱらってしまえば、他人に自分の考えた言葉を言わせることが出来るという不思議な能力をもった一人の男の話であり、同じ伊坂作品で言えば、『重力ピエロ』みたいに、固い絆で結ばれた兄弟の話でもあり、とにかく伊坂テイストを存分に楽しむ事の出来る小説です。

『魔王』は、緊迫感があって、ハラハラして、それはそれで面白いですが、個人的には、『魔王』の5年後を描いた、同時収録の『呼吸』の方がより好きです。

『呼吸』は、『魔王』の主役安藤の弟潤也の恋人で、『呼吸』では妻になっている詩織の視点で描かれています。
詩織は、『魔王』では、たまに鋭いところを見せる時もあるけれど、基本的には能天気なキャラクターでしたが、『呼吸』ではそんな彼女も少し大人になって、潤也が見せる変化に戸惑い、怯えつつも、最終的には潤也を信じるという一種の強さのようなものが感じられました。
最後のシーンでの詩織と潤也の“怪獣相撲”の勝負の結果は、単に消しゴムの形の違いの問題ではなく、彼女の強さがもたらしたものだったんじゃないかなぁと思いました。

それに、『呼吸』には競馬場のシーンが結構出てくるので、個人的にはその点でも楽しめました♪

最後の直線に入ると、「ここに到って、私、走る喜びを知りました」と言わんばかりの加速を見せ、美しい前足で綺麗に地面を蹴り、一着でゴールした。


ちなみに、この部分が、何だか笑えて気に入ってます。

「文庫あとがき」にも書いてありましたが、10月下旬に『魔王』に連なる作品『モダンタイムス』が発売されるみたいです。ただ、「直接的な続編とは言いがたい」そうです。漫画週刊誌で連載されていたのは知っていましたが、読んでいないので、かなり気になります。

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