『重力ピエロ』は伊坂幸太郎の代表作のひとつとして早くから知っていたのですが、これも『オーデュボンの祈り』と同じくちょっと手を伸ばしづらくて後回しにしていました。

この小説の主人公となる兄弟の家族にまつわるつらい過去の部分をレビューなんかを読んで知っていたので、いかに伊坂作品でもこれはさすがに暗くて重苦しいストーリーになっているに違いないと思っていたわけです。

結果はといえば、はい、またも単なる思い込みでした。

もちろん息詰まるような緊迫した場面なんかも多いんだけど、泉水と春、この兄弟二人のやりとりとかそこに父親を交えた家族の姿なんかがさりげないんだけどあたたかくてほんわかするし、何より泉水と春どっちもすごくカッコイイ。

「兄貴、むちゃくちゃだよ」春が顔を歪めた。
「そうだ、このむちゃくちゃがおまえの兄なんだ」
できる限り、軽々しく言った。春が以前、病院で洩らした言葉が、頭から離れない。
「本当に深刻なことは、陽気に伝えるべきなんだよ」


それから伊坂作品ではもうおなじみですが、別の作品の登場人物が再び登場してます。あっ!あのキャラがここにも!って読みながら思わずニンマリしちゃいます。こういう別の部分でも楽しめちゃうのが伊坂作品の面白さをさらに倍増させてますよね。

あらすじやレビューだけで本の内容を決め付けたり思い込んだりしたらダメなんだなぁって、つくづく思います。それでも、これは自分には合わないなんて敬遠してしまってる本がまだまだたくさんあるし、そんな本の中にもきっと自分にとって大切になる作品が埋もれてるんだろうなぁ。

この『重力ピエロ』もそうだけど、読んでみたら自分の予想に反してすごく面白かったっていう本に出会った時の喜びは大きいですね。

重力ピエロ (新潮文庫)
伊坂 幸太郎
新潮社
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