この『きょうのできごと』は映画化された事で初めて原作があるという事を知りました。ちなみに映画はまだ観ていません。
興味を持ったので一度読んでみたいと思っていたのですが、改めて読もうと思ったのは長嶋有と柴崎友香の対談を読んだから。その対談の中で長嶋有さんがアンソロジー『東京 19歳の物語』への参加を決めたのは「柴崎さんが書いていたから」とおっしゃっていたんです。私は長嶋有の小説が好きなので、その長嶋有がそこまで言う作家ならその作品を読んでみようかなぁという気持ちになったのです。
さらに本屋でこの河出文庫をパラパラめくって解説を保坂和志が書いている事を知りますます読みたくなりました。

『きょうのできごと』はまさに「きょう」の出来事を5人の登場人物の視点から描いたもの。5人の登場人物というのは「けいと」とけいとの友人の「真紀」、けいとの友人であり真紀の彼氏の「中沢」、中沢の友人の「正道」、中沢と正道の後輩の「かわち」の5人。
大学院に合格して京都で学生生活を送る事になった正道の引越し祝いをするために集まった日の出来事を5人の視点で順番に描いているのです。

京都に向かう車の中での何気ない会話、欲しかったスカートが買えなくて落ち込んだ、酔っ払って風呂場で散髪をしてあげる、恋人とのデート中のケンカ・・・。本当にどこにでもありそうな日常が描かれているだけなのですが、やはり5人それぞれの視点から描かれている事で、それぞれの登場人物がどこで誰とどんな風に過ごして、どんな事を考えていたのかというが分かるので例え何気ない日常であってもどこか面白く感じられました。

そして何と言っても登場人物の話す関西弁がいい。もしこれが標準語だったらもっと味気ない作品になっていたんじゃないかなぁ。

さらに書下ろしで『きょうのできごとのつづきのできごと』が収録されています。これには「A面・けいとと真紀のできごと」と「B面・映画の撮影現場を見に行った小説家のできごと」があって、A面ではコンビニに買い物に出かけたけいとと真紀が近くで映画の撮影をしていると知り見に行くというもので、B面は柴崎友香さんが実際に映画『きょうのできごと』の撮影現場を見に行った時の様子を描いたもの。フィクションとノンフィクションの世界を微妙にリンクさせているという遊び心が嬉しいです♪

きょうのできごと (河出文庫)
柴崎友香
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映画のキャストがいいですね。中沢を妻夫木聡、真紀を田中麗奈が演じています。

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