私は本来ファンタジーなお話が好きではありません。そもそも自分の中に乙女チックな部分なんてこれっぽっちもないですし。

それでも、江國ファンだし文庫化されれば読まずにはいられないですからこの『すきまのおともだちたち』だってちょっと迷いはしましたが発売後すぐに買いました。

新聞記者の「私」が取材で訪れた街で道に迷い、やがて小さな女の子に出会う。その女の子は小さい(9歳)のに両親はおらずたった1人で暮らしている。1人というか、1人と1枚?というべきでしょうか?女の子はお喋りするだけでなく車の運転まで出来てしまうお皿と一緒に暮らしているのです。

小さな女の子と喋るお皿・・・。この設定が私にこの本を読む事を躊躇させていたのです。でも、読めばそこは江國ワールドで江國ファンの私にはやっぱり面白いんです。そういえば『ホテル カクタス』を読む前も躊躇したけど読んだらすっかり気に入ってしまったんでした。

お皿の他にも風呂敷や豚の紳士、靴屋のネズミなど変わった登場人物(?)が多いですが、女の子が暮らすのは見た目はごく普通の街で、駅や野球場、遊園地や映画館だってある。それに女の子は何もしないで生活している訳じゃなく野球場でレモネードを売り歩いたり、針仕事をしたりしてお金を稼いでいるんです。そのへんはリアルですね。

「私」は自分の意思で女の子に会えるのではなく、「まさにすきまに落ちるみたいに唐突に、強引に」女の子とお皿のいる場所に行き、そしてまた突然自分がいるべき元の場所に連れ戻される。
だからタイトルが『すきまのおともだちたち』なのですね。江國さんの本のタイトルはいつも絶妙だなぁ。

読んでいて心が穏やかになるというか、優しい気持ちになれる作品でした。夏の疲れがスーッと溶けていくみたいな。お気に入りの江國作品がまたひとつ増えました。

すきまのおともだちたち (集英社文庫)
江國 香織 こみね ゆら
集英社
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