江國香織の小説も好きだけどエッセイも好きです。小説とエッセイだと雰囲気が違う作家もいますが、江國さんの場合はわりと小説の雰囲気そのまんまな感じで、ふんわりとしたエッセイ。

この『とるにたらないものもの』は『緑いろの信号』、『輪ゴム』、『レモンしぼり器』、『煙草』、『小さな鞄』など江國さんにとって「とるにたらないけれど、欠かせないもの。気になるもの。愛おしいもの。忘れられないもの。」について綴られたエッセイ集。
ひとつひとつのエッセイは2~3ページと短いものなのだけれど、どのエッセイも最初の一文でグッと惹きつけられてしまいます。

例えば、『煙草』の出だし。

かつて、私の憧れの男性は所ジョージだった。いまも好きで、土曜日だか日曜日だかの夕方のラジオから声がきこえてくるとどきっとする。


『焼き鳥』の出だし。

焼き鳥と聞いて思い浮かべるのはサザエさんだった。マスオさんが同僚のアナゴさんと、あるいは波平が甥のノリスケさんと、仕事帰りにちょっと呑み、ちょっと個人的な話をする光景。男の人たちの憩いの場。


そして『カクテルの名前』というエッセイの出だしはこちら。

つくづく思うのだけれど、私は名前にまどわされるたちなのだ。本でもCDでも、タイトルだけでどうしても欲しくなることがしばしばあるし、たまに買う馬券も半分は馬の名前で買う。


本のタイトルと言えば江國香織の小説やエッセイのタイトルこそ、タイトルだけで欲しくなってしまうほど素敵なものが多いと私は思います。

以前一度読み終わった江國香織のエッセイをもう読み返さないだろうと思い処分してしまった事があるのですが、ある時ふともう一度読みたいと思い、結局同じ本をもう一度買うはめになってしまいました(笑)

江國さんのエッセイはサラリと読めるのだけど、じんわり沁みてくるので、ふと読み返したくなってしまうのです。同じ失敗をしないように今では購入した江國さんのエッセイは全てきちんと本棚に並べてあります。

とるにたらないものもの (集英社文庫)
江國 香織
集英社
売り上げランキング: 31541
スポンサーリンク
関連記事