『風が強く吹いている』、『まほろ駅前多田便利軒』と三浦しをんの小説を読んで、次はどの作品を読もうかなぁと思って選んだのが『月魚』。

月魚 (角川文庫)

古書店の店主とせどり屋の息子の話という設定が面白そうだと思いました。

老舗の古書店『無窮堂』の三代目店主本田真志喜と卸専門の古本屋瀬名垣太一の二人は幼馴染。真志喜の祖父がせどりをしていた瀬名垣の父親に目をかけてくれるようになったのが縁で、幼い瀬名垣も『無窮堂』に出入りするようになり、一つ年下の真志喜と仲良くなったのだった。

そして、真志喜が二十四、瀬名垣が二十五歳となった今でも二人の交流は以前ほど頻繁ではないものの続いていた。

どうやら、瀬名垣は真志喜に対して、何か負い目を負っているようなのですが、それは読んでいくうちに明らかになります。

そして、真志喜は、瀬名垣がその負い目があるから、自分を気にかけて時折『無窮堂』にやって来てくれるのだ、と少し卑屈になっている様子。でも、瀬名垣は負い目は感じているものの、それが理由で真志喜をあれこれ構っているわけではないんです。

アマゾンのレビューにもちらほら書かれていますが、この作品はBLテイストなので、瀬名垣と真志喜、二人の間にあるのは恋愛感情。そういうのはちょっと苦手・・・という方もいると思いますが、そのあたりは割とあっさりというか爽やか(?)に描かれているので、大丈夫だと思います(笑)

瀬名垣が田舎の旧家から本の査定を依頼され、真志喜と一緒に買い付けに向かうのですが、二人はそこで思わぬ人物に出会います。そして、ようやく二人に暗い影を落としていた過去に決別することになります。

作品の雰囲気としては『まほろ駅前多田便利軒』と似ているような気がします。真志喜が古書店の店主、瀬名垣が古本の卸をやっているということもあり、古書店や古本市の様子なども書かれているので、本好きには興味深く面白い内容になっていて、楽しめました。

あと、個人的には、二人が買い付けに行った旧家で飼われていた2頭の犬、特に白犬のミールがツボでした。犬好きなので。そういえば、『風が強く吹いている』や『まほろ駅前多田便利軒』にも犬が登場してますね。

『月魚』にはメイン作品の『水底の魚』の他、瀬名垣と真志喜、さらに幼馴染のみすずと英郎が高校生の時を書いた『水に沈んだ私の村』、さらに文庫書き下ろしの『名前のないもの』が収録されています。
『水に沈んだ私の村』には、密かに真志喜に想いを寄せている高校教師(男)が登場したりして、これまた妖しげな雰囲気が漂っていますが、青春小説っぽい爽やかさもあって、私は好きです。

月魚 (角川文庫)月魚 (角川文庫)
三浦 しをん

角川書店
売り上げランキング : 86959

Amazonで詳しく見る
スポンサーリンク
関連記事