文庫化されたばかりの『5』を買って読もうと思っていたのですが、佐藤正午の代表作のひとつ『ジャンプ』をまだ読んでいなかったので、まずは『ジャンプ』を読むことにしました。

ジャンプ (光文社文庫)

主人公の三谷純之輔は翌日に出張を控えた夜、付き合って半年の恋人南雲みはると共にみはるの住むマンションへの道を歩いていた。酒はまるでダメな三谷だったが、その夜はみはるに連れて行かれたバーで“アブジンスキー”という強いカクテルを飲んだため、まっすぐ歩くのも難しいほど酔っ払っていた。

三谷の毎朝の日課は、好物のリンゴを齧ること。マンションに着いた後、みはるは三谷のために一人でコンビニにリンゴを買いに行く。「リンゴを買って五分で戻ってくるわ」と言い残して・・・。

みはるの帰りを待っているつもりがいつの間にか眠ってしまい、明け方に目を覚ました三谷は、みはるがリンゴを買いに行ったきり帰ってきていないことに気付くのですが、考えた結果、予定通り出張に行ってしまいます。

普通、恋人しかも若い女性が夜中に一人で出て行ったきり、朝まで連絡もないまま帰ってこなかったら、探しに行くとか、心当たりに片っぱしから連絡するとかして、それでも駄目なら警察に届けたりするんじゃないかと思うのですが、三谷はそうはしないのです。もちろん心配をして、みはるの携帯に電話をしたりはするのですが、留守番電話サービスセンターにつながると、それであっさり諦めてしまうし・・・。

結局三谷が出張から戻っても、みはるは行方不明のまま。みはるを心配して様子を見に来たみはるの姉みゆきとみはるのマンションで鉢合わせしてしまった三谷は、みゆきと共にみはるの行方を探すことに。

そして、みはるの足取りを追ううちに、コンビニにリンゴを買いに行ったみはるがその後どこへ行ったのかが少しずつ分かっていきます。

様々な偶然が重なって、三谷の前から姿を消したみはる。ラストにその理由が明かされます。それが衝撃的というか、ゾッとしたというか・・・。三谷はそれを意外とあっさり受け止めるのですが、もし私だったらちょっと無理かも・・・。ネタバレしないように書いているので、何が言いたいのか分かりづらいですね(笑)

もし、あの夜アブジンスキーを飲まなかったら・・・。もし、三谷が出張に行くのをやめてみはるを探していたら・・・。ほんのささいな事に思える行動が人の運命を大きく変えることはあって、それはもしかしたら自分の周りでも起きているのかもなぁなんて事をチョットだけ思いました。

それにしても『ジャンプ』の三谷をはじめ、佐藤正午の作品に出てくる主人公の男は、なんでこんなにダメ男なんでしょうか。三谷はダメ男というか、優柔不断でまわりくどい男。みはるの姉のみゆきが三谷に「あなたの話はもう充分。まともに聞いてると夜になってしまう」とうんざりした様子で言った気持ち分かります。

まわりくどい三谷の性格そのままに、みはるの足取りを追うのにもかなり回り道をしています。そんな感じだから、決してスピード感があるストーリーというわけではないのですが、続きが気になってしまって結局1日で読み終えてしまいました。

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佐藤 正午

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『ジャンプ』を読んで改めて私は佐藤正午の小説が好きなんだなぁと思いました。どこがって言われると、はっきりとは言えないのですが、雰囲気が好きです。

『5』の前に、デビュー作『永遠の1/2』を読んでおこうかなぁ。


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『ジャンプ』は映画化されているんですよね。三谷を演じているのはネプチューンの原田泰造。他のキャスト見たら何だか面白そう。コンビニ店員役で佐藤隆太とか出てるし。
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