絲山秋子の小説の中で『逃亡くそたわけ』に並んで好きなのがこの『海の仙人』。主人公の河野は宝くじで三億円が当たって会社を辞め、敦賀にある古い家を買い取って海で泳いだり、釣りをしたり、料理をしたりとのんびり暮らしている。そんな河野のもとに突然現れたのが「ファンタジー」。ファンタジーは神様なんだけど、河野には四十がらみの男の姿に見えていて何をしてくれるという訳でもないのに偉そうな口調で喋り、河野の家に居候をする。

この設定に最初は「ファンタジー?神様?何だそりゃ」って思ったけど、このファンタジーがなかなかいいキャラをしていて面白いので、「まあいっか。」と思って読みました。

『逃亡くそたわけ』でもそうだったけど、この『海の仙人』でも方言がいいスパイスになってます。河野が喋る大阪弁が何かいいんですよね。やっぱり方言だとより人間味が出るような気がするんです。何でもかんでも方言ならいいって訳じゃないけど河野というキャラクターには大阪弁がピッタリなんです。

河野には恋人がいるのだけど、元同僚の片桐はずーっと河野に想いを寄せていて。この片桐は車好きで性格もサバサバしていて言葉遣いも荒くて、決して女らしいというような女性ではないのだけど、片桐への自分の想いがかなわないのにひたむきなところが可愛らしくて。出来れば片桐の想いが通じればいいなぁなんて思いながら読んでいました。

だから、私はこのラストが気に入っています。明るい希望があるようなラストシーンで、最後まで読んで良かったって素直に思えるから。

ところで絲山さんの小説には車に関して詳細な描写が多いですよね。私も車に詳しかったらもっと楽しめるのに残念。車がテーマになっているという『スモールトーク』は文庫になっているけれど、車好きでなくても楽しめるのかな?と思っていて結局まだ未読です。

海の仙人 (新潮文庫)
海の仙人 (新潮文庫)
posted with amazlet at 09.02.17
絲山 秋子
新潮社
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