小路幸也の『東京バンドワゴン』…いいっ!

東京バンドワゴン (集英社文庫)

『東京公園』を読んで、何となく自分の好きなタイプの作家さんかも~と思っていましたが、今回この『東京バンドワゴン』を読んで、間違いないと確信しました。

また一人好きな作家が増えて、そしてまた“東京バンドワゴン”という好きなシリーズ作品が出来たのは嬉しい。

シリーズ第1弾の『東京バンドワゴン』。

物語の中心となるのは東京の下町にある古本屋東京バンドワゴンを営む堀田家の面々。

3代目店主の祖父勘一を筆頭に、その息子で60歳ながら金髪のロックンローラー我南人(がなと)、我南人の3人の子供たち、長女の藍子、長男の紺、次男の青。さらにシングルマザーの藍子の小学6年生になる一人娘花陽、紺の妻の亜美と小学4年生となる息子の研人。

この4世代8人の家族が一つ屋根の下に暮らす賑やかな堀田家とその周辺の人々を描いたのが『東京バンドワゴン』。

もう一人重要な人物、この物語の語り手となるのが今は亡き勘一の妻のサチ。76歳でこの世を去ったものの、どういうわけか、今も堀田家に留まって、家族を見守っているのです。

そんなサチの穏やかな語り口のおかげで、ドタバタとした堀田家の様子もどこかほのぼのと感じられ、そこが私は気に入っています。

堀田家の中で一番個性的なキャラクターは、何と言っても我南人。そのしゃべり方はとても60歳とは思えない、語尾をのばす軽~い口調。そして口癖は「LOVE」。

また、堀田家以外の登場人物もなかなか個性的。まずは、堀田家を度々訪れる日本好きのイギリス人マードックさん。このマードックさんは、藍子に好意を抱いているのですが、なかなか積極的になれず、周囲の人がもどかしく感じるほど。

さらに28歳の若さでIT企業の社長であり古書好きの藤島。藤島は、最初に東京バンドワゴンを訪れた時に店の本を全部買いたいといい、勘一に怒られてしまい、それ以後、1冊本を買って読む度に感想文を書いて持って来ないと、次の本は売らないという勘一との約束を守って、せっせと店に通う常連客。

我南人の次男青は実は、愛人との間に出来た子で、藍子や紺とは異母兄弟となるのですが、今は亡き我南人の妻秋実が我が子同様に育てたため、藍子や紺とも仲の良い兄弟。

ただ、その青はなかなかのプレイボーイで、しょっちゅう若い女の子が堀田家を訪れて来るので、他の家族はその対応に苦労している。

そんなある日、いつものように青の恋人だという「牧原みすず」と名乗る女の子が堀田家を訪れ、堀田家の居候となるのですが・・・。

こんな感じで、堀田家の家族だけでも8人と多いのに、さらにたくさんの登場人物が出てきて、ちょっとした事件が起きたりします。それを、家族の誰かが謎解きするかのように解決する、ほんのちょっぴりミステリー的な要素も楽しめる、人情あふれるホームドラマ的小説。

東京バンドワゴン (集英社文庫)東京バンドワゴン (集英社文庫)
小路 幸也

集英社
売り上げランキング : 41339

Amazonで詳しく見る


実は、今まさにシリーズ第2弾『シー・ラブズ・ユー』を読んでいる最中なのですが、一気に読んでしまいそうな勢いなので、読み終えるのがもったいなくて困っているところです。
スポンサーリンク
関連記事