三浦しをんの小説を読むのは、これが初めて。エッセイは面白くて好きなのですが、そのエッセイでのしをんさんのイメージが強くて・・・。

風が強く吹いている (新潮文庫)

もともとスポーツものは私の好きなジャンル。それで、初めての三浦しをんの小説にこの『風が強く吹いている』を選びました。既に映画化もされて、すっかり有名な作品。

竹青荘というボロアパートに住む寛政大学の四年生、清瀬灰二(ハイジ)。ハイジはある夜、万引きをしてコンビニの店員に追われる男を目にする。男の走りを見たハイジは、自転車でその後を追いかけ、男に「走るのは好きか?」と問いかけた。

万引きをした男は、長距離ランナーとして陸上の名門高校で活躍していた、蔵原走。走と書いて「カケル」と読む、その名の通り、走るために生まれてきたような天才ランナーの走だが、ある問題を起こして陸上部を辞めていた。その走は、4月から寛政大学に通うことになっている。

ハイジは、金に困っている様子の走を竹青荘に案内する。竹青荘にはちょうど一部屋の空きがあり、ハイジはその部屋が埋まるのを心待ちにしていた。

ハイジをはじめとする竹青荘の住人は、全て寛政大学の学生。走と同じ一年生の双子、ジョータとジョージ。留学生のムサと漫画オタクの王子は二年生。田舎で神童と呼ばれていたということでそのあだ名がついた神童は三年生。四年生のユキは、既に司法試験に合格済み。同じく四年生でクイズ番組好きのキング。部屋を煙草の煙で真っ白にするニコチャンは、一番年長のはずだけれど、留年して三年生。

走が竹青荘に入居したことで、住人の人数がちょうど10人になり、ハイジは、これまでずっと心に秘めていた考えを竹青荘の住人に伝える。それは、竹青荘の住人全員で箱根駅伝を目指すというものだった・・・。

こんな感じで、ほとんどが陸上初心者の竹青荘住人が、無謀にも箱根駅伝を目指しはじめるわけです。これは、スポ根、友情、それにほんのちょっと恋愛の要素もあるという青春小説。

最初は、漫画好きな三浦さんが書く小説は、やっぱり漫画みたいだなぁなんて思いながら読んでいたのですが、気付いたらグイグイ引き込まれていて、走やハイジの走ることに対する熱い想いや、竹青荘の住人たちが互いを想いあう気持ちに触れる度に、自然と涙が溢れてしまいました。

特に後半、箱根駅伝のシーンでは、もうほとんど泣きっぱなしの状態でした。

とにかく、ひとつひとつのセリフが熱い!

「きみに対する思いを、『信じる』なんて言葉では言い表せない。信じる、信じないじゃない。ただ、きみなんだ。走、俺にとっての最高のランナーは、きみしかいない」


このハイジのセリフなんて、本当にグッときました。

また、竹青荘の住人だけでなく、竹青荘の大家さんや、大家さんの飼い犬ニラ、竹青荘住人の箱根駅伝挑戦を応援する葉菜子をはじめとする地元商店街の人々、さらに同じく箱根を目指すライバルたちなど、たくさんの個性的なキャラクターが登場するのもこの作品の魅力です。

私はスポーツ全般が苦手で、中でも長距離走は一番嫌い。だから、運動が苦手な王子には特に感情移入してしまいました。でも、読んでいるうちに、何だか走りたくなりました。実際には走らないですけど(笑)

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三浦 しをん

新潮社
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本当に面白かったので、これは、また何度か再読すると思います。しをんさん、エッセイだけでなく、小説も面白いんですねー。気になっていたけどまだ読んでいない直木賞受賞作『まほろ駅前多田便利軒』も読んでみようかなぁ。


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ハイジ役を小出恵介、カケル役を林遣都が演じて映画化されています。
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