小路幸也さんの小説を読むのは、この『東京公園』が初めて。読んでいる最中、思わずにんまりしてしまいました。何故なら、ものすごく好きな雰囲気の作品だったから。我ながらいい本選んだなぁって、嬉しくなってしまいました。

東京公園 (新潮文庫)

主人公は、カメラマンを目指す大学生の志田圭司。圭司は公園に行き、そこにいる家族の写真を撮るのが好き。ある日、公園で若い母親と幼い娘の写真を撮ろうとしていた圭司に初島という男性が声をかけてきた。圭司が写真を撮らせてもらおうと思っていた母子は、初島の妻百合香と娘のかりんだった。

そして、初島は圭司に思いもよらない頼み事をしてきた。それは、妻を尾行して写真を撮って欲しいというもの。初島は百合香が晴れの日にはいつもかりんを連れてあちこちの公園に出掛ける事を不審に思っていた。百合香は初島より十一歳も年下で、しかも美人。ひょっとして浮気をしているのでは・・・と疑うようになってしまったのだという。

真面目で誠実そうな初島の人柄に好感を持った圭司は、初島の頼みを聞く事にした。何より、圭司には百合香とかりんの母子の写真をもっと撮りたいという気持ちがあった。

圭司は、初島からのメールで母子がどこの公園に出掛けたのかを知り、カメラを持ってその公園に出掛け二人の写真を撮ります。こう書くと、探偵ものっぽいですが、圭司は尾行というよりもむしろ母子をそっと見守るように写真を撮っているし、母子が出掛ける都内の公園の様子が目に浮かぶように描かれていて、なんだかとってもほのぼのとした雰囲気が漂っていました。

主人公の圭司はもちろん、圭司が一緒に暮らしている友人のヒロ、小学生の時からの友人で中学生の時には付き合ったこともある富永、親同士が再婚して姉になった咲実、大学の友人真山、圭司がバイトをしているバーのマスター原木など、他の登場人物もそれぞれとても魅力的です。

あと、富永が圭司とヒロの家に遊び来ると時にいつも映画のDVDを持ってくるのですが、色んな映画のタイトルが登場してきて、それが面白かったです。

解説を読んで知ったのですが、この『東京公園』は『フォロー・ミー』という映画のオマージュ作品のようです。それで、最後のページに「To “Follow Me!”」って書いてあったんですね。

とにかく、本当に私の好きなタイプの小説でした。雰囲気的には私の好きな長嶋有の『夕子ちゃんの近道』に似ているかも。

東京公園 (新潮文庫)東京公園 (新潮文庫)
小路 幸也

新潮社
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東京バンドワゴン』は『東京公園』とはちょっと雰囲気がちがうっぽいけど、小路さんの他の作品もっと読んでみたいなぁ。
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