『きょうのできごと』(感想)を読んでから、他の作品も読んでみたいと思っていた柴崎友香の小説『青空感傷ツアー』を読みました。

青空感傷ツアー (河出文庫)

主人公の芽衣は26歳。大学を卒業して三年間勤めた会社を辞めたばかりの芽衣に音生から電話がかかってきて、東京駅に呼び出される。
芽衣が音生と初めて会ったのは、予備校に通っていた頃。男友達の千秋に紹介された年下の音生は、完璧な外見のめちゃめちゃかわいい女の子だった。
外見は文句なく完璧なのだが、口は悪くて、自己中心的な音生。音生に呼び出された芽衣は、東京から大阪に向かう新幹線の中で、彼氏に二股をかけられたことの愚痴を散々聞かされる。
そして、音生の提案で二人はトルコに旅行に行くことになる・・・。

芽衣は自他共に認める面食いだから、音生にきつい事を言われたり、振り回されたりしても、音生の顔がきれいだから、ついつい許してしまう。音生もそれを分かっていて、芽衣にわがまま放題の態度を取ります。私だったら、どんなに美人でもそんな女友達は遠慮したいと思うのですが。

とにかくそんな芽衣と音生がトルコから四国、さらには石垣島へと旅をするというストーリーです。

私が好きなのは、四国の旅館に宿泊している間を描いたところです。その旅館は、芽衣が大学生の時に告白して振られた永井くんのおじさんが経営していて、そこには永井くんも居て、さらに途中から音生に呼び出された音生の元彼の千秋が来たりするのですが、恋愛模様が描かれる・・・というわけではありません。

ただ、四国で何をするでもなくだらだらと過ごす日常や田舎の町の様子の描き方が、妙に細かいというか繊細というか、そういところが好きなんです。

わたしは自分の湯呑みに少ししか残っていない薄い黄色の液体を見ながら、永井くんの両手の中の湯呑みに満ちているお茶の色を思い浮かべようとした。だけど、わたしに見えるのは幻みたいな湯気だけだった。


誰も乗っていないバスに太陽の光が差し込んでいる光景をいちばん後ろの席から見るのは、かなり素敵なことだと思う。


最後は四国から石垣島に行って、その旅の途中で物語は終わるわけですが、そのラストも何となくゆるい感じで、ふわふわ~と終わっているのがいい。やっぱり柴崎さんの小説、好きかも。でも、合わない人には退屈に感じられる気もします。

文庫の解説は私の好きな長嶋有さんが担当されています。

青空感傷ツアー (河出文庫)青空感傷ツアー (河出文庫)
柴崎 友香

河出書房新社
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