よしもとばななの『チエちゃんと私』、これ好きです。先日買った文庫3冊(他2冊は長嶋有の『夕子ちゃんの近道』と角田光代の『しあわせのねだん』)はどれも私にとってはアタリでした。

チエちゃんと私 (文春文庫)

『チエちゃんと私』は、私の好きなよしもとばなな作品のひとつ『海のふた』に似ている気がします。

主人公のカオリは四十ニ歳、従妹のチエちゃんは三十五歳。二人が一緒に暮らし始めて六年になる。
チエちゃんの母親、つまりカオリのおばさんが亡くなった時、おばさんの遺言にはチエちゃんと一緒に暮してくれたらお金がつきるまで毎月三十万円出すとあった。それで、遠い親戚のなかにはそのお金目当てにチエちゃんを引き取ろうとする人もいた。
チエちゃんの父親は誰だか分からず、チエちゃんは母親と二人でオーストラリアで自給自足のコミューンに住んでいた。チエちゃんは子どもの頃からとても無口でほとんど口をきかなかった。それでも、カオリはそんなチエちゃんのことが嫌いではないと思っていた。
おばさんのお葬式で久しぶりに会ったチエちゃんに「私、カオリちゃんのところへ、行く。行きたい。」と言われた時、何故か断る気になれず、以後二人の同居生活は六年続いている。

周りからはカオリがチエちゃんを保護しているように見られているのだけれど、実はカオリにとって、チエちゃんの存在が大きくなっており、チエちゃんが突然いなくなったら・・・と考えるだけで涙が出てしまうほど。それでも、もしそうなったら気持ちよくチエちゃんを送り出したいとは思っている。

ところが、突然その時がやって来る。つまりチエちゃんが昔の知り合いにブリスベンにある畑を手伝わないかと誘われ、チエちゃんがその畑を見に行くことになるのです。しばらく離れて暮らす間にカオリにはちょっといいなと思う男性が現れたりもするのだけれど、やっぱりチエちゃんが大切で。そんな時、チエちゃんからの電話で思いもよらないことを聞かされる・・・。

カオリがチエちゃんという存在に依存しすぎていると感じるかもしれないけれど、六年も一緒に暮らして、今はチエちゃんがカオリのメインの家族で、そして中年期にさしかかっているカオリにとっては、それが普通なのかも。私が十代、二十代の頃に読んでいたら、うっとおしいって思っていたかもしれないけれど、今は何となく分かる気がして、すんなり受け入れられたし、カオリとチエちゃん、二人の生活がこのまま続いていくといいなぁと思いました。

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よしもと ばなな

文藝春秋
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