堀江敏幸の『子午線を求めて』、ちょっと読むのに時間がかかってしまいました。というのも、第1部の表題作『子午線を求めて』をはじめ第2~5部のほとんど全てがフランス文学に関する文章になっているから・・・。日頃から国内小説を中心に読む私にとっては、フランス文学なんて全く知識のないもの。文章中に登場する作家も作品もまるで知らないものばかりで、読み進めるのにかなり苦労しました。

堀江さんの書く文章は好きなのですが、流石に興味のない内容だと・・・。でも、表題作の『子午線を求めて』は好きです。これは、パリ子午線に沿って埋め込まれた直径12センチの銅盤135枚をたどる旅に出た詩人ジャック・レダが書いた文章をもとに、著者が不可視のパリ子午線をたどるという内容。この表題作は著者自身が登場するということもあって、他の書評的色合いの濃い文章に比べると、エッセイに近く、堀江さんの文章を存分に楽しむことが出来ました。

ジャック・レダについては、私は名前すら知らず、『子午線を求めて』を読んで初めてその存在を知ったのですが、著者とはレダは簡単な消息を書いた絵はがきを送るくらいの交流があり、二人はパリで初めて会うことになります。宿泊先にやって来るレダを緊張の面持ちで迎える著者に対し、レダはお近づきのしるしだと言って著者が好きなタンタンの缶入りチョコレートとノートをプレゼントしてくれるという心温まるエピソードをはじめ、著者の目を通したレダという人物はとてもチャーミングな老詩人のようでした。

フランス文学の書評の中にも紹介されている小説に興味を持ったものもありましたが、フランス文学に興味があればもっと楽しめたと思います。特に第3部などは気軽に読むには難しい論文のような文章で、一気に読むことが出来ず、少しずつ読み進めなければなりませんでした。これが同じ海外文学でもアメリカのミステリーとかだったら、もうちょっと楽しく読めたのになぁ。

子午線を求めて (講談社文庫)
堀江 敏幸
講談社
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