横山秀夫の小説を読むのは『クライマーズ・ハイ』に続いて2作目。そして早くも2作目にして、果たしてこの『第三の時効』を超える横山作品があるのだろうかと心配になるほど、最高に面白い小説を読んでしまったという気がしています。じっくり読もうと思ったのに面白すぎて一気に読んでしまいました。

『第三の時効』は表題作を含む全六篇の連作短篇集。各短篇で代わる代わるメインをつとめるのは常勝軍団と呼ばれるF県警強行犯の面々。

「青鬼」と揶揄される強行犯捜査一係、通称「一班」の班長朽木は、23年前に起こしたある事故を機に笑わなくなった。公安あがりで二班の班長に抜擢された楠見は、「冷血」の異名をとる男で、とりわけ女性に対しては辛辣。三班の班長村瀬は、動物的なカンで事件の本質を見抜く「天才」。

これら3人のアクが強い班長の下に、これまた個性的な部下たちが集い互いに競うように日々事件解決に向け奔走している。

各短篇の大まかなあらすじは以下のとおり。

取調べで自供したはずの被告人が裁判で一転無罪を主張する『沈黙のアリバイ』。

本来なら時効が成立した殺人事件だが、実は事件後に犯人が海外に逃亡した7日間は時効期間が停止しており、真の時効を迎える7日後の「第二時効」までに犯人を逮捕しようという表題作『第三の時効』。

F県警捜査第一課長の田畑があまりに個性の強い3人の班長の扱いに頭を悩ませながらも各班が抱えている事件を課長の立場で客観的に見つめている『囚人のジレンマ』。

脳梗塞で入院した村瀬に代わって三班の班長代理となった東出が張り込んでいたはずのマンションから容疑者に逃げられてしまうという大失態を犯す『密室の抜け穴』。

いつもおちゃらけてばかりの一斑の最年少刑事矢代だが、実は彼には記憶から消し去りたいほど忌わしい過去があった。その過去を思い起こさせるかのような事件を矢代が担当することになる『ペルソナの微笑』。

村瀬率いる三班と朽木率いる一斑が、5歳の子供を含む一家三人刺殺事件を担当することになり、互いに事件解決の手柄を激しく競い合うことになる『モノクロームの反転』。

どれも素晴らしく面白かったですが、事件の結末に一番ハッと驚かされたのは、やはり表題作『第三の時効』でした。時効停止期間を逆手にとる「第二時効」が事件解決の鍵を握っているのかと思いきや、実は・・・!という考えもつかないような結末が待っています。これはすごい。

文庫の解説は私の好きな池上冬樹さん。解説の中で池上さんはこの『第三の時効』を横山作品のベスト1に挙げています。

私も『クライマーズ・ハイ』も面白かったけれど、この『第三の時効』はさらに面白かったと思います。なんで今まで横山秀夫の小説を読まなかったんだろう?他の横山作品にもますます興味がわいてきました。

ところで、なぜ楠見は女性に対して憎悪を抱いているかのような態度を取るのか気になるのですが、このシリーズの続きにそのあたりのことが触れてあるのかな?

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