何度目かの再読。よしもとばななは好きな作家、よく読み返すのは初期の作品が多いです。この『哀しい予感』は特に好きな作品のひとつ。

優しい両親と大好きな弟の哲生と暮らす19歳の弥生。けれど、彼女はあることに薄々気付き始めていた・・・。
どこか変わった、けれど美しいおばのゆきの。弥生はある日家出をしてゆきのの家を訪ねる。その時には、弥生はもう確信していた。ゆきのはおばではなく、弥生の姉だと。

今までずっとおばだと思っていたゆきのが実は歳の離れた姉だと気付いた弥生。弥生は幼い頃に事故に遭い、記憶を無くしていた。忘れてしまっていた自分の本当の両親のこと、そして姉のゆきののこと。少しずつ失った記憶を取り戻していくなかで、おばとしてではなく、姉としてのゆきのと向き合おうとする弥生の姿を描いています。

さらに、本当の家族ではないとはっきり気付いたことにより、それまで微妙なバランスを保ってきた哲生との関係にも変化が起きるのです。

まるで少女マンガみたいと言われれば確かにそうかもしれません。ちょっと恥ずかしくなるくらい真っ直ぐな哲生と弥生の恋は多少甘ったるく感じるところもありますが、私はこの甘さが結構好きです。同じよしもとばななの小説『うたかた』も、甘いけど好き。

それに、弥生の現在の家族も本当に温かくて、読んでいてホッとします。家出をした弥生を心配しつつも、そういう素振りを見せまいと普段と変わらぬ調子で電話をかけてくる母親と交わす会話の場面では、何だかジーンときてしまいます。私も最近歳をとったのか(笑)、つい自分の母親と重ね合わせてしまって必要以上に感情移入してしまうのかも。私の場合、子供はいないのでいつまでも娘の目線になってしまうんですよね。

ちなみに『キッチン』を読んでカツ丼が食べたくなるとするなら、『哀しい予感』の場合、プリンとカレーが食べたくなります。



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