川上弘美のエッセイが好きだと以前『あるようなないような』の感想(コチラ)の時に書きましたが、この『ゆっくりさよならをとなえる』も好き。どこが好きかというと、本や漫画の話が出てくるところだったりします。そういう意味では三浦しをんのエッセイも同じかなぁ。

この『ゆっくりさよならをとなえる』は様々な新聞・雑誌に連載された文章を集めたエッセイ集。

通底するのは、たぶん「本のこと」と「まごまごした感じ」なんだと思います。


あとがきで著者がこう書いているように、このエッセイ集に収録されたエッセイもやはり「本のこと」に触れたものが多い、というよりむしろ後半のエッセイはほとんど読書エッセイ。

川上さんは小説だけでなく漫画もかなり好きなようで、『十六巻はいずこ』というエッセイでは、「ゴミ置き場に寂しそうにうずくまっていた」寿司職人の少年のマンガを一冊拾って読んだりしています(笑)

このマンガのタイトルは書いていないのですが、「病弱な父を助けるために、厳しい修行を積んでいる、けなげな少年の物語」と「拾った一冊以外の二十七巻中の二十六巻」からおそらく『将太の寿司』ではないかと思われます。

一冊読んですっかり夢中になった川上さんは、住んでいる町にある全ての古本屋十軒あまりをめぐるのですが、どうしても十六巻だけが見つかりません。ついには電車に乗り隣の駅の古本屋さんへも進出。ところがそこにもなくて、次の週はまたさらに隣の駅へ・・・。このエッセイでは結局十ほどの駅の古本屋さんをめぐっても見つからなかったとありました。

また、一番最後に収録されている表題作『ゆっくりさよならをとなえる』は、まるで詩のようで私はとても気に入っています。

「冬の夜にすること。」で始まり、「ハンカチにアイロンをかける。」、「天津甘栗をむく。」などというように冬の夜にすることがずらずらと箇条書きで並べられているだけなのですが、これが何だかいい。

たとえば他には「カフェオレをつくる。」、「カフェオレを飲む。」、「途中でカフェオレに飽きて残す。」(←分かる!)とか「武田百合子の本を読む。」とか「犬を飼うとしたら名前は何にするか考える。」などなど。
何だかほわんとした気持ちになります。

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