お気に入りのシリーズ作品、乃南アサの女刑事音道貴子シリーズ久々の長篇『風の墓碑銘』がようやく文庫化されました!

土日を使って早速読みました。土曜の夜から読み始めたのですが、あとちょっと、もうちょっと・・・と思いながら読んでいるうちにとうとう朝4時をまわってしまいました。

築五十年は超えていると思われる木造家屋の解体現場から出てきたのは、どうやら人間のものらしい骨。

現在隅田川東署の所轄署員として勤務している音道貴子は、相棒の玉城と共に現場に向かった。やはり人骨らしいと分かり、貴子たち捜査関係者は、発見現場から慎重に白骨死体を掘り起こす作業に取り掛かった。しかし、現場から見つかったのは一体ではなく男性と女性、さらに胎児のものと思われる三体の白骨死体だった。

貸家だったその家の家主を訪ねれば、かつて住んでいた人物の情報を調べることなど容易なことだと思われたのだが、82歳になる家主の今川篤行は認知症らしく、話を聞いても要領を得ない。貴子と玉城は連日今川の元を訪れていたのだが、ある日その今川が何者かに殺害されるという事件が起きる。

今川殺害事件の特別捜査本部が設置され、金町警察署の署員となっている滝沢保はその一員として派遣される。そこで、貴子と滝沢は再び相棒としてペアを組むこととなった・・・。

シリーズ第一作『凍える牙』以来、再びコンビを組むこととなった貴子と滝沢。シリーズのファンとしては、まさに待ってました!の一言に尽きます。

初めてコンビを組んだ時は、女刑事というだけで貴子を無視したりかなり陰険な態度を取っていた滝沢も、あれ以来貴子の刑事としての素質を認めており、再びコンビを組めたことを内心喜びます。貴子の方はと言えば、滝沢が優秀な刑事であることは認めているものの、相棒としては未だに信頼しきれず警戒心を捨てきれず、かたくなな態度を取ってしまいます。そのため、二人の再コンビ結成のスタートは決して順調ではありません。

ですが、前回コンビを組んだ時とは違い、時には激しくぶつかりあい対立し合いながらも、コンビとしての息はピッタリで互いに足りない部分を補い合いながら、事件の真相に迫っていきます。このあたりは、シリーズ作品を読んできたファンにとっては嬉しいところ。事件のことだけでなく、貴子の私生活も新たな局面を迎えますし、滝沢もまたある不安を抱えながら捜査を続けています。

もちろん、シリーズ作品としてだけでなく、ミステリーとしても面白い作品になっています。おそらく既に時効をむかえてしまったであろう白骨死体の殺人事件と、その白骨死体が発見された貸家の家主であった老人の殺人事件。
捜査員たちの聞き込み捜査から老人を殺したと考えられる容疑者が何人かちらほらと浮かんできます。白骨死体の事件と老人の殺人事件とはどうやら無関係かと思われたのですが、貴子と滝沢のコンビが何か関わりがありそうだと睨む容疑者の一人の過去から、二つの事件はひとつに繋がってゆく・・・という展開に。一体誰が何のために?と思うともう続きが気になって、気になって、途中で読むのを止めることが出来ないくらいでした。それで気付いたら朝の4時だったという訳なのです(笑)

しかし、犯人を知った時は、あまりに意外な人物だったので驚きました。しかも、犯人が明かす理由が何とも言えず・・・。貴子がそんな犯人に怒りを覚えるのは当然でしょうね。私も読んでいて腹が立ちました。

とにかく、緊張感たっぷりのミステリーで一気に読んでしまう面白さがありました☆このシリーズはもっと続いて欲しいです。ちなみに文庫本の解説は私の好きな池上冬樹さん。



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