堀江敏幸の『一階でも二階でもない夜 回送電車Ⅱ』読み終えました。相変わらず仏文学や美術など私自身関心の薄い散文を読むのに時間がかかってしまいましたが、堀江さんの静かでどこか温かい文章が好きなので、じっくり時間をかけて読みました。54篇の散文の中で特に印象に残ったのは、まずは一番最初の『静かの海』。収録された散文の中では長めのもの。夜の公園のベンチに腰をかけた筆者。そこへ高校生らしき男女が十数人やって来...

読み終えるまで時間が掛かってしまったのは、つまらないからじゃなく、一気に読んでしまうのがもったいなかったから。堀江さんの本を読む時は、いつもこういう気持ちになってしまいます。この『もののはずみ』は、堀江さんと「もの」との出会いが描かれています。堀江さんが惹かれるのは、新しいものよりもむしろ「ほんのちょっとむかしの」もの。例えば、それは珈琲挽だったり、陶製のペンギンだったり、「おまけ」でもらった黒い...

堀江敏幸の『子午線を求めて』、ちょっと読むのに時間がかかってしまいました。というのも、第1部の表題作『子午線を求めて』をはじめ第2~5部のほとんど全てがフランス文学に関する文章になっているから・・・。日頃から国内小説を中心に読む私にとっては、フランス文学なんて全く知識のないもの。文章中に登場する作家も作品もまるで知らないものばかりで、読み進めるのにかなり苦労しました。堀江さんの書く文章は好きなのですが、...

最近はピンと張り詰めた緊張感のある横山秀夫の警察小説を続けて読んだので、淡々と静かな堀江敏幸の世界に入り込めるかな?と思っていたのですが、いざ『おぱらばん』を読み始めると、言葉がじんわりと沁み込んできて、あー、やっぱり堀江敏幸好きだなぁと嬉しくなりました。文庫化されて初めてこの『おぱらばん』を読んだのですが、ずーっと“おぱらばん”って一体何の事だろうと疑問に思っていました。その疑問は最初に収録されて...

堀江敏幸の『熊の敷石』には、表題作『熊の敷石』の他、『砂売りが通る』、『城址にて』の計3編が収録されています。3篇の中で私が最も好きなのは、表題作の『熊の敷石』です。数年ぶりに訪れたパリで仕事をしていた主人公の「私」は、時間に余裕が出来たことで、2年ほど音信不通になっていた友人のヤンと会おうと思い立つ。ヤンの実家に電話をしてみると、どうやら今ヤンはパリにはおらず、ノルマンディーの小村で暮らしていると...

毎日少しずつ、少しずつ味わうように読んでいた堀江敏幸の『回送電車』ですが、読み終えてしまいました。冒頭の『回送電車主義宣言』には、なぜ連載の通しタイトルを『回送電車』にしたのかが書かれています。特急でも準急でも各駅でもない幻の電車。そんな回送電車の位置取りは、じつは私が漠然と夢見ている文学の理想としての、《居候》的な身分にほど近い。評論や小説やエッセイ等の諸領域を横断する散文の呼吸。複数のジャンル...

堀江敏幸の小説の中では、以前感想を書いた『いつか王子駅で』とこの『雪沼とその周辺』が特にお気に入りの作品です。『雪沼とその周辺』は、堀江さんの小説の中でも、素直に読みやすい、小説らしい小説だと思います。『雪沼とその周辺』は、山あいにある町、雪沼とその周辺で暮らす人々のそれぞれの人生の1ページを描いた連作小説です。どれも素敵な作品ばかりですが、私が一番好きな、というか印象に残っているのは、やはり最初...

2004年にWEB本の雑誌の読書相談室でした質問に回答してもらえた事がきっかけとなり堀江敏幸の『いつか王子駅で』を読みました。今では堀江さんは好きな作家の一人になりましたし、あの時回答して下さった北上次郎さんには大感謝しています。ちなみに私がした質問は「何かしら競馬に関する場面が出てくる面白い小説(エッセイ、ノンフィクションではなく)は何かありますでしょうか?」(全文だと長くなるので前後は省略)というも...