文庫化されたばかりの『5』を買って読もうと思っていたのですが、佐藤正午の代表作のひとつ『ジャンプ』をまだ読んでいなかったので、まずは『ジャンプ』を読むことにしました。主人公の三谷純之輔は翌日に出張を控えた夜、付き合って半年の恋人南雲みはると共にみはるの住むマンションへの道を歩いていた。酒はまるでダメな三谷だったが、その夜はみはるに連れて行かれたバーで“アブジンスキー”という強いカクテルを飲んだため、...

佐藤正午の『Y』、面白かったです。ますます他の作品も読んでみたくなりました。という事で、カテゴリに[佐藤正午]を追加しました。主人公の秋間文夫は出版社に勤務する会社員。妻は高校生の娘を連れて家を出て行ってしまった。そんな秋間の元に「親友」だったという北川健と名乗る男から電話が掛かってくるのだが、秋間にはその高校の同級生だったという北川についての記憶がまるでなく、顔すら思い出せなかった。しかし、北川は...

これまでエッセイは読んでいたものの小説は読んだ事のなかった佐藤正午。この前『放蕩記』を読んで(感想はコチラ)、すごく好き!・・・というわけではないけどじわじわと良かったので、今度は『彼女について知ることのすべて』を読んでみました。「その夜わたしは人を殺しに車を走らせていた。」といういきなり驚きの一文から物語は始まります。しかし、読者にはすぐに事件は“わたし抜き”で起こってしまったことが分かり、そこから...

佐藤正午の『放蕩記』の文庫背表紙に「各章ごとに文体が変貌する、佐藤正午のみに書きうる傑作。」とあります。最後の佐藤正午のみに~というのは、大げさだと思うのですが、各章ごとに文体が変わるというのは、確かにその通り。例えば第一章の「Q&A」は、その名の通り一問一答形式で、主人公の作家海藤正夫がどのような人物なのかがぼんやりと分かるようになっています。第2章で通常の文体になったと思ったら、第三章の「手紙」で...