『花のあと』に続いて藤沢周平の『本所しぐれ町物語』を再読。『本所しぐれ町物語』は、江戸にある架空の町、しぐれ町を舞台にそこに住む町人たちの日常を描いた連作長編で「鼬の道」、「猫」、「朧夜」、「ふたたび猫」、「日盛り」、「秋」、「約束」、「春の雲」、「みたび猫」、「乳房」、「おしまいの猫」、「秋色しぐれ町」という12章から成ります。何年ぶりかでの再読なので、これまた内容をきれいさっぱり忘れていました(...

藤沢周平の『花のあと』が映画化されたというのを知って、何だか久しぶりに読みたくなって本棚から文庫を引っ張り出しました。『花のあと』は短篇集で、表題作『花のあと』は一番最後に収録されているのですが、せっかくなので最初から全部読みました。収録されているのは、『鬼ごっこ』、『雪間草』、『寒い灯』、『疑惑』、『旅の誘い』、『冬の日』、『悪癖』、『花のあと』の八篇。随分久しぶりの再読なので、すっかり内容を忘...

堀江敏幸の『一階でも二階でもない夜 回送電車Ⅱ』読み終えました。相変わらず仏文学や美術など私自身関心の薄い散文を読むのに時間がかかってしまいましたが、堀江さんの静かでどこか温かい文章が好きなので、じっくり時間をかけて読みました。54篇の散文の中で特に印象に残ったのは、まずは一番最初の『静かの海』。収録された散文の中では長めのもの。夜の公園のベンチに腰をかけた筆者。そこへ高校生らしき男女が十数人やって来...

読み終えるまで時間が掛かってしまったのは、つまらないからじゃなく、一気に読んでしまうのがもったいなかったから。堀江さんの本を読む時は、いつもこういう気持ちになってしまいます。この『もののはずみ』は、堀江さんと「もの」との出会いが描かれています。堀江さんが惹かれるのは、新しいものよりもむしろ「ほんのちょっとむかしの」もの。例えば、それは珈琲挽だったり、陶製のペンギンだったり、「おまけ」でもらった黒い...

堀江敏幸の『子午線を求めて』、ちょっと読むのに時間がかかってしまいました。というのも、第1部の表題作『子午線を求めて』をはじめ第2~5部のほとんど全てがフランス文学に関する文章になっているから・・・。日頃から国内小説を中心に読む私にとっては、フランス文学なんて全く知識のないもの。文章中に登場する作家も作品もまるで知らないものばかりで、読み進めるのにかなり苦労しました。堀江さんの書く文章は好きなのですが、...

『プレーンソング』を読んだら当然の流れのように続編にあたる『草の上の朝食』も読みたくなってしまったので、続けてこちらも再読しました。『プレーンソング』は冬の終わりから夏まででしたが、この『草の上の朝食』は夏の終わりから晩秋までが描かれています。主人公のぼくの2LDKの部屋には、アキラとよう子、島田の3人が住み続けていて4人の共同生活は変わらず続いています。ただし、ぼくの生活にはちょっとした変化があります...

保坂和志の『プレーンソング』は、もう何度も読み返しているお気に入りの小説です。初めて読んだ保坂和志の小説がこの『プレーンソング』で、すぐに続編にあたる『草の上の朝食』も読みました。それで、その他の作品はどうかというと、『カンバセイション・ピース』や『季節の記憶』も読むには読んだのですが、こちらはあまりピンときませんでした・・・。そもそも『プレーンソング』を読もうと思ったのは、文庫の背表紙にもあるあら...

最近はピンと張り詰めた緊張感のある横山秀夫の警察小説を続けて読んだので、淡々と静かな堀江敏幸の世界に入り込めるかな?と思っていたのですが、いざ『おぱらばん』を読み始めると、言葉がじんわりと沁み込んできて、あー、やっぱり堀江敏幸好きだなぁと嬉しくなりました。文庫化されて初めてこの『おぱらばん』を読んだのですが、ずーっと“おぱらばん”って一体何の事だろうと疑問に思っていました。その疑問は最初に収録されて...

久しぶりに星野道夫の『旅をする木』を再読。この本を初めて読んだ時、これは何度も読み返す本になるだろうと漠然と感じました。『旅をする木』に限らず、星野さんの本を読むと、アラスカの自然や野生動物に対する温かい気持ちが、じんわりと沁みこんでくるのです。そして、見たこともないアラスカの森や海や川が目の前に広がるのです。アラスカの自然と野生動物の姿を写真におさめてきた星野さんに対して私が勝手に抱いていたイメ...

藤原伊織の短篇集『雪が降る』の感想で、私の好きな短篇のひとつに挙げたのが『紅の樹』でした。『紅の樹』は、元ヤクザの堀江徹という男が主人公のハードボイルド。『雪が降る』の黒川博行が書いた解説に「『てのひらの闇』はこの作品をもとにして書かれたのだろう。」とあったので、この『てのひらの闇』をいずれ読みたいと思っていました。『てのひらの闇』の主人公はタイケイ飲料宣伝部課長の堀江雅之。しかし、経営状態が思わ...