絲山秋子は好きな作家のひとり。芥川賞受賞作『沖で待つ』を文庫化を機にようやく読むことが出来ました。『沖で待つ』には、表題作の他に36歳、現在無職で職安に通う主人公の恭子が、勤労感謝の日に気乗りしないお見合いをする羽目になる『勤労感謝の日』と、文学や政治の世界で活動し、「しいはらたい」という仲間がいる「しいはらぶんたろう」という、ある人物を彷彿とさせる男が主人公の『みなみのしまのぶんたろう』という短篇...

絲山秋子のデビュー作『イッツ・オンリー・トーク』。この『イッツ・オンリー・トーク』には、表題作『イッツ・オンリー・トーク』の他に『第七障害』という作品が収録されています。実は私は表題作よりも同時収録の『第七障害』の方が気に入っています。『イッツ・オンリー・トーク』の方はさらっと紹介すると、主人公の橘優子の周囲に集まる男性は、大学時代の友人で今は都議会議員の本間、同じく大学時代の友人バッハ、出会い系...

最近のお気に入り作家の一人、絲山秋子の『袋小路の男』。この小説も絲山秋子の作品の中では、かなり好きです。『袋小路の男』には、大谷日向子が高校時代からずっと想いを寄せる先輩、小田切孝との12年間を描いた表題作『袋小路の男』の他、小田切孝の視点から描いた『小田切孝の言い分』、さらに前2作品とは関係のない『アーリオ オーリオ』という全部で3つの短編が収録されています。表題作『袋小路の男』では、主人公の日向子...

絲山秋子の小説の中で『逃亡くそたわけ』に並んで好きなのがこの『海の仙人』。主人公の河野は宝くじで三億円が当たって会社を辞め、敦賀にある古い家を買い取って海で泳いだり、釣りをしたり、料理をしたりとのんびり暮らしている。そんな河野のもとに突然現れたのが「ファンタジー」。ファンタジーは神様なんだけど、河野には四十がらみの男の姿に見えていて何をしてくれるという訳でもないのに偉そうな口調で喋り、河野の家に居...

長嶋有と同じく私が最近になって好きになった作家が絲山秋子。『イッツ・オンリー・トーク』、『海の仙人』、『袋小路の男』のどれもが私の好きな小説。そして、特に好きなのがこの『逃亡くそたわけ』。ある出来事から精神病院に入院させられた「あたし」、花ちゃんが病院からの脱走を決意。それに強引に付き合わされるちょっと気弱な名古屋出身の「なごやん」との車での九州縦断を描いた小説なのですが、とにかくこの2人の旅(逃...