最近のお気に入り作家の一人、絲山秋子の『袋小路の男』。この小説も絲山秋子の作品の中では、かなり好きです。『袋小路の男』には、大谷日向子が高校時代からずっと想いを寄せる先輩、小田切孝との12年間を描いた表題作『袋小路の男』の他、小田切孝の視点から描いた『小田切孝の言い分』、さらに前2作品とは関係のない『アーリオ オーリオ』という全部で3つの短編が収録されています。表題作『袋小路の男』では、主人公の日向子...

長嶋有の小説では『ジャージの二人』が1番好きなのですが、恋愛をテーマにしたものの中ではこの『泣かない女はいない』が断然好きです。表題作『泣かない女はいない』と『センスなし』の2作品が収録されています。特に『泣かない女はいない』がいいんです。埼玉県の郊外にある小さな会社の事務として働く睦美。睦美には一緒に暮らす恋人がいるのだが最近は何だかだらだらした関係になってしまっていた。そんな中、睦美は同じ会社で...

絲山秋子の小説の中で『逃亡くそたわけ』に並んで好きなのがこの『海の仙人』。主人公の河野は宝くじで三億円が当たって会社を辞め、敦賀にある古い家を買い取って海で泳いだり、釣りをしたり、料理をしたりとのんびり暮らしている。そんな河野のもとに突然現れたのが「ファンタジー」。ファンタジーは神様なんだけど、河野には四十がらみの男の姿に見えていて何をしてくれるという訳でもないのに偉そうな口調で喋り、河野の家に居...

これも大好きな長嶋有の小説『パラレル』。同じように主人公が妻に浮気をされてしまう『ジャージの二人』と雰囲気は全然違っていて、ちょっとリアリティーがあって重苦しいところもあるんですが、でも好きなんです。特に印象に残ったのは風邪をひいた元妻を訪ねた主人公が帰る時「見送りはいいから」と言ったにもかかわらず妻が螺旋階段の手すりから主人公を見送っていたシーン。「いいから、寝ろってば」怒った声になる。急いで駆...