たとえ面白くても二度と読み返さない本もあれば、折に触れて読み返す本もあります。私にとって武田百合子の『富士日記』は、後者。ふと読みたくなって、上・中・下、どの巻でもいいから適当に手に取り適当なページを開いて好きなところを読むのです。もともとこの『富士日記』の存在を知ったのは数年前に雑誌『ダ・ヴィンチ』の何かの特集で紹介されているのを読んだのがきっかけでした。かなりうろ覚えですが、昭和40年代当時の物...