秋だからというベタな理由で北村薫の『秋の花』を読みました。かなり久しぶりの再読です。『秋の花』は《円紫さんと私》シリーズの第三作。それまでの二作『空飛ぶ馬』、『夜の蝉』がほのぼのとした日常の謎解きミステリーだったのに対し、『秋の花』では女子高生が夜の学校の屋上から落ちて死ぬという、このシリーズとしてはショッキングな内容になっています。それに、前二作が短篇集であるのに対し、『秋の花』はシリーズ初の長...

シリーズ最新作『鷺と雪』が直木賞受賞したのを機に、未読だった北村薫のベッキーさんシリーズ第一作『街の灯』を読んでみることにしました。私自身、北村さんの小説を読むのは久しぶりでした。この『街の灯』には、「虚栄の市」、「銀座八丁」、そして表題作「街の灯」の三篇が収録されています。時は昭和7年、主人公の花村英子の父は、日本でも五本の指に折られる財閥の系列の、商事会社の社長。つまり、英子は何不自由ない暮ら...